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奥の細道【現代語訳#5】仏五左衛門

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プロフィール帳

『奥の細道』

時代:江戸

作者:松尾芭蕉

概要:自然や歴史、人の営みの美しさを見出した、東北・北陸を巡る紀行文学

9

オススメ度

7

日探重要度

5

文量

5

読解難易度

 

登場する場所

番号と対応した地図です。東北地方の名所は頻繁に立ち寄っていることが分かります。

5『仏五左衛門』では、

6 日光山麓(宿推定)

が該当します。

原文

三十日日光山の麓に泊る

あるじの云けるやう

我名を仏五左衛門と云

万正直を旨とする故に人かくは申侍まま一夜の草の枕も打解て休み給へと云

いかなる仏の濁世塵土に示現してかかる桑門の乞食順礼ごときの人をたすけ給ふにや

とあるじのなす事に心をとどめてみるに

唯無智無分別にして正直偏固の者也

剛毅木訥の仁に近きたぐひ気稟の清質尤尊ぶべし

現代語訳

3月30日、日光山の麓に泊まった。

宿の主人は語る。

「私は、名を仏五左衛門といいます。万事正直を第一としております故、人はそう申します。一夜の旅枕もくつろいでお休みください。」と。

『どのような仏が濁世塵土に現れて、このような乞食巡礼してそうな桑門をお助けになるのか。』

とらちゃ
とらちゃ

濁世塵土 だくせじんど。煩悩や争いで、塵や土埃のように濁った世界。つまりこの世

乞食巡礼 こつじきじゅんれい。乞食しながら諸国の寺社を参拝すること

桑門 そうもん。出家して修行する僧侶

と、主人の振舞いを気にして見ていると、ただただ無知無分別な正直一辺倒な者であった。

『剛毅木訥(ごうきぼくとつ。しっかりしていて心が強く、素直な様子)は仁に近し』

という『論語』の言葉のような人物で、その気稟(きひん。生まれながらに持つ気質、性格)の清廉さは、最も尊ぶに足るものであった。

とらちゃ
とらちゃ

この論語の一節は、剛毅木訥の者は、最も大切な道徳である仁に最も近い存在である。という意味です。

ちなみに、対義語として、『巧言令色仁が鮮し』というのがあります。

『言葉巧みに人の顔色を伺うような者は、正直ではなく、仁の心が欠けている。』と言う意味です。

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