登場する場所
番号と対応した地図です。東北地方の名所は頻繁に立ち寄っていることが分かります。
16『飯塚』では、
28 飯塚
29 桑折宿
30 伊達の大木戸
が該当します。
原文
其夜飯塚にとまる
温泉あれば湯に入て宿をかるに土座に筵を敷てあやしき貧家也
灯もなければゐろりの火かげに寝所をまうけて臥す
夜に入て雷鳴雨しきりに降て臥る上よりもり蚤蚊にせせられて眠らず
持病さへおこりて消入計になん
短夜の空もやうやう明れば又旅立ぬ
猶夜の余波心すすまず馬かりて桑折の駅に出る
遥なる行末をかかへて斯る病覚束なしといへど羈旅辺土の行脚捨身無常の観念道路にしなん
是天の命なり
と気力聊とり直し路縦横に踏で伊達の大木戸をこす
現代語訳
その夜、飯坂に泊まった。温泉があったので湯に入り宿を借りた。土間に筵を敷いただけのみすぼらしい貧家である。
今までと違い、宿駅ではなく、民家に泊まっています。
灯もないので、囲炉裏の火かげに寝所を設けて横になった。
夜になって、雷が鳴り、雨がしきりに降ってきた。
寝所の上から雨漏りが始まり、蚤や蚊に食われて痒くて眠れない。
持病まで発症して気を失いかけた。
短い夜の空もだんだん明けてきたので、また旅立った。
しかし、昨夜の余波で気が進まなかったので、馬を借りて桑折宿(奥州街道第五十五番目の宿)まで進んだ。
遥か先の旅の行く末を控えているといのに、このように病が発症するとなると不安だが、
「私は羇旅辺土(きりょへんど。辺境の地を旅すること)する行脚の身であり、捨身無常の観念(身を捨てる覚悟と、この世の無常を悟ること)も胸にかけている。道中で死んだら、それは天命なのだ。」
と、気力を少し取り戻し、よろけながらも道を踏み進み、伊達の大木戸(古代から続く、奥州の関所のひとつ。大木戸は簡易的な関所の総称)を越えた。
大木戸は、簡易的な関所の総称で、伊達の大木戸は、古代から続く、奥州の関所のひとつです。
| 第15話へ << | 第17話へ >> |












