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竹取物語【原文・現代語訳・単語】帝の求婚|かぐや姫と帝の恋模様

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プロフィール帳

『竹取物語』帝の求婚

時代:平安

作者:不明

概要:日本最古の物語

8

オススメ度

3

日探重要度

3

文量

3

読解難易度

 

目次

原文

さてかぐや姫かたち世に似ずめでたきことを、帝聞しめして、内侍中臣のふさ子にの給ふ、

とらちゃ
とらちゃ

かたち:外見・容姿

「多くの人の身を徒になしてあはざんなるかぐや姫は、いかばかりの女ぞ。」

とらちゃ
とらちゃ

徒(いたずら)に:無駄に

いかばかり:どれほどの

と、

罷りて見て參れ。」

とらちゃ
とらちゃ

罷(まか)る:退出して

との給ふ。ふさ子承りてまかれり。竹取の家に畏まりて請じ入れてあへり。嫗に内侍のたまふ、

「仰ごとに、かぐや姫の容いうにおはすとなり。能く見て參るべきよしの給はせつるになん參りつる。」

といへば、

「さらばかくと申し侍らん。」

といひて入りぬ。かぐや姫に、

「はやかの御使に対面し給へ。」

といへば、かぐや姫、

「よき容にもあらず。いかでか見まみゆべき。」

とらちゃ
とらちゃ

いかでか:どうして・どのようにして

といへば、

うたてもの給ふかな。帝の御み使をばいかでか疎にせん。」

とらちゃ
とらちゃ

うたて:ひどく

といへば、かぐや姫答ふるやう、

「帝の召しての給はんことかしこしとも思はず。」

とらちゃ
とらちゃ

かしこし:畏れ多い

帝が直接来たわけではないので、断り申し上げても怖くないと言っています。

といひて、更に見ゆべくもあらず。うめる子のやうにはあれど、いと心恥しげに疎おろそかなるやうにいひければ、心のまゝにもえ責めず。

とらちゃ
とらちゃ

主語はおうなです。

嫗、内侍の許にかへり出でて、

「口をしくこの幼き者はこはく侍るものにて、対面すまじき。」と申す。

内侍、

「必ず見奉りて參れ、と、仰事ありつるものを、見奉らではいかでか歸り參らん。國王の仰事を、まさに世に住み給はん人の承り給はではありなんや。いはれぬことし給ひ。」

とらちゃ
とらちゃ

な~そ:決して~するな

と、詞はづかしくいひければ、これを聞きて、ましてかぐや姫きくべくもあらず。

「國王の仰事を背かばはや殺し給ひてよかし。」

といふ。この内侍歸り參りて、このよしを奏す。帝聞しめして、

「多くの人を殺してける心ぞかし。」

との給ひて、止みにけれど、猶思しおはしまして、

「この女をうなのたばかりにやまけん。」

と思しめして、竹取の翁を召して仰せたまふ、

「汝が持て侍るかぐや姫を奉れ。顔容よしと聞しめして、御使をたびしかど、かひなく見えずなりにけり。かくたいゞゝしくやはならはすべき。」

とらちゃ
とらちゃ

かひ(甲斐)なし:成果なく・どうしようもなく

たいだい(怠々)し:不都合だ・もってのほかだ

と仰せらる。翁畏まりて御返事申すやう、

「この女の童は、絶えて宮仕つかう奉まつるべくもあらず侍るを、もてわづらひ侍り。さりとも罷りて仰せ給はん。」

とらちゃ
とらちゃ

絶えて:決して

と奏す。是を聞し召して仰せ給ふやう、

「などか翁の手におほしたてたらんものを、心に任せざらん。この女めもし奉りたるものならば、翁に冠をなどかたばせざらん。」

翁喜びて家に帰りて、かぐや姫にかたらふやう、

「かくなん帝の仰せ給へる。なほやは仕う奉り給はぬ。」

といへば、かぐや姫答へて曰く、

「もはらさやうの宮仕つかう奉まつらじと思ふを、強ひて仕う奉らせ給はゞ消え失せなん。御み司冠つかう奉りて死ぬばかりなり。」

とらちゃ
とらちゃ

らじ:~するまい(打消意思)

翁いらふるやう、

「なしたまひそ。官つかさ冠も、我子を見奉らでは何にかはせん。さはありともなどか宮仕をし給はざらん。死に給ふやうやはあるべき。」

といふ。

「なほそらごとか、と、仕う奉らせて死なずやあると見給へ。數多の人の志疎おろかならざりしを、空しくなしてしこそあれ、昨日今日帝のの給はんことにつかん、人ぎきやさし。」

とらちゃ
とらちゃ

空(虚)し:死ぬ

といへば、翁答へて曰く、

「天の下の事はとありともかゝりとも、御おん命の危きこそ大なるさはりなれ。猶仕う奉るまじきことを參りて申さん。」

とて、參りて申すやう、

「仰の事のかしこさに、かの童を參らせんとて仕う奉れば、宮仕に出したてなば死ぬべし、とまをす。造麿が手にうませたる子にてもあらず、昔山にて見つけたる。かゝれば心ばせも世の人に似ずぞ侍る。」

と奏せさす。 帝おほせ給はく、

「造麿が家は山本近かンなり。御み狩の行幸し給はんやうにて見てんや。」

とらちゃ
とらちゃ

御幸:天皇の外出

とのたまはす。造麿が申すやう、

「いとよきことなり。何か心もなくて侍らんに、ふと行幸して御覽ぜられなん。」

と奏すれば、帝俄に日を定めて、御狩にいで給ひて、かぐや姫の家に入り給ひて見給ふに、光滿ちてけうらにて居たる人あり。

とらちゃ
とらちゃ

にわか(俄か)に:突然・急に

「これならん。」

とおぼして、近くよらせ給ふに、逃げて入る、袖を捕へ給へば、おもてをふたぎて候へど、初よく御覽じつれば、類なくおぼえさせ給ひて、

「許さじ」とす。

とらちゃ
とらちゃ

類なし:他にいない

捕まえた手を離すのを許さない(逃がさない)。と言っています

とて率ておはしまさんとするに、かぐや姫答へて奏す、

「おのが身はこの國に生れて侍らばこそ仕へ給はめ、いとゐておはし難くや侍らん。」

と奏す。

帝「などかさあらん。猶率ておはしまさん。」

とて、御輿を寄せたまふに、このかぐや姫きと影になりぬ。

「はかなく、口をし。」

とおぼして、

げにたゞ人にはあらざりけり。」とおぼして、

「さらば御供には率ていかじ。もとの御かたちとなり給ひね。それを見てだに歸りなん。」

とらちゃ
とらちゃ

口惜し:悔しい

だに:せめて~だけでも

と仰せらるれば、かぐや姫もとのかたちになりぬ。帝なほめでたく思し召さるゝことせきとめがたし。かく見せつる造麿を悦びたまふ。

さて仕うまつる百官の人々に、あるじいかめしう仕う奉る。帝かぐや姫を留めて歸り給はんことを、飽かず口をしくおぼしけれど、たましひを留めたる心地してなん歸らせ給ひける。

御輿に奉りて後に、かぐや姫に、

かへるさの みゆき物うく おもほえて そむきてとまる かぐや姫ゆゑ

とらちゃ
とらちゃ

物憂し:何かに心悩ませる

御返事を、

葎はふ 下にもとしは 經ぬる身の なにかはたまの うてなをもみむ

これを帝御覽じて、いとゞ歸り給はんそらもなくおぼさる。

御心は更に立ち歸るべくもおぼされざりけれど、さりとて夜を明し給ふべきにもあらねば、歸らせ給ひぬ。常に仕う奉る人を見給ふに、かぐや姫の傍に寄るべくだにあらざりけり。

「こと人よりはけうらなり。」

とおぼしける人の、かれに思しあはすれば人にもあらず。かぐや姫のみ御心にかゝりて、たゞ一人過したまふ。よしなくて御方々にもわたり給はず、かぐや姫の御おん許にぞ御文を書きて通はさせ給ふ。御返事さすがに憎からず聞えかはし給ひて、おもしろき木草につけても、御歌を詠みてつかはす。

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