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塵芥集【分かりやすく現代語訳】100条紹介!その内容とは?

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第41~60条

第四十一条

せつたう、かうたう、かいそく、山おとしの事、右、しせうなくハ、いけくちをとり、そのさた有へきなり、とうるいの事、いけくちまかせたるへし、もし又はくしやうの人しゆのうち、あやまりなきのよし申、むかいいけくちをとり、とかなきのむね申わくるにいたつてハ、いせんとり候いけくち、五十日のあひたさたところにつなかせ、たかいのくちをきかせ、あやまりのかた、せいはいあるへきなり、

窃盗、強盗、海賊、山落とし(山賊)について。右について、確かな証拠がない場合には、容疑者を生け捕りにしてから、その裁断を下すべきである。共犯者の有無は、捕えた者の供述に任せることとする。

しかし、もし白状して対象となった人が、過失はないとを申し立ててきたら、双方を生け捕りとすること。

互いに無罪だと主張するに至った場合には、先に捕らえた方を五十日間、沙汰所(裁判所)に繋がせ、互いの言い分を聴取し、過失のある側に成敗を加えるべきである。

第四十二条

一ぬすむところのさうもつ、けにん、うし、むま等の事、てつきをひくへし、もし又たこくの者、なをしらさる人、しにんなとひき候ハゝ、其身のをつとたるへきなり、

臓物、下人、牛、馬などの盗難について。見つかった場合、引受の正当性を示すため、その所有者から、手継(てつぎ。物や人を正当に引き渡したことを正式に証明する文書。証文のこと)を提出させること。もし、他国の者、名を知らない者、死人などを手継なく引き受けた場合は、その引き受けた人の責任である。

第四十三条

一くらやくをせすして、ぬすミものしちにとるともから、ぬす人とうるいのよし申、しかるにとりてをきぬしを申いては、とかあるへからす、たゝししちとり候もの、をきぬしをしらすハ、とりてのをつとたるへき也、

蔵役(商人や職人。質屋や蔵屋敷などで売買を行い、蔵物(=商品)の管理をする。蔵元(製造元)が蔵役を担う場合もある)を通されていない品(盗品)を質に取った(金を借りる代わりに盗品を預ける)輩が、「盗人と同類の行為である」と申し立てられた場合、取手(質に取った者)が置主(本来の持ち主)を明らかにするのであれば、罪はないものとする。

ただし、取手が置主を知らないのなら、取手の責任である。

とらちゃ
とらちゃ

中世の商品の正常なルートというのは、必ず蔵役を通して流通していました。

第四十四条

一ぬす人としらすして、さと、町屋におゐて、やといたし候とも、をつとたるへきなり、

里や町屋において、盗人と知らずに、宿を貸した場合、罪に問われる。

第四十五条

一市町にてやりこからめ候とき、相さへ候もの、とうさひたるへし、

市や町において、やりこ(乱闘や暴動を起こした者)等を捕らえた時、そこに居合わせた者も同罪とする。

とらちゃ
とらちゃ

騒ぎの混乱の最中、無関係だけど捕まった者も同罪とするということです。

第四十六条

一ぬす人と申かけ候とき、其支証をこうのうへ、たかひにろんにをよひ、ておひしにんあり、ぬす人に有なしの支証おちつきの是非により、其成敗をくわへへきなり、

「自分は盗人である。」と申し立てがあった場合について。

下級の沙汰所で解決できず、その証拠を高能(裁判所)に提出し、そこで自首者と高能側とで論争に発展した場合、手負いや死人が出たかどうか盗人であるか否かの、確定した証拠の是非によって、その成敗を加えることとする。

第四十七条

一にくる人見つけ候ハゝ、則しうにんのかたへ返しをくへし、もしかゝへをき、いんしんによふのうへ、かの下人かさねてにけ候ハゝ、見つけ候人、・ふうんたるへし、しからはおとこハ三百疋、をんなハ五百疋の代物をわきまへへし、

逃亡している下人を見つけた(捕らえたの意味合いが強い)場合には、ただちに主人のもとへ返還すること。

もし、匿っておき、音信(いんしん。おんしんが一般的な読み。連絡)したうえで、再び逃亡した場合は、見つけた人の不運(責任)である。

その場合、男は三百疋、女は五百疋の代償金を本来の主人に弁えること。

第四十八条

一にけ人見つけ、いんしんあらは、一人に三十ひきつゝのれゐせんをわたし、うけとるへし、たゝしとをきさかひよりつけきたらは、ろせんさうし以下、人ぬしのかたりよりつくのふへし、いたき物の事、相そへかへし付へし、かゝへおしむにおゐてハ、とうきひたるへし、若又にけ人、くたんのいたき物中途にてうしなひ、又ハうりなといたす事ありて、いまミつけ候人、これをしらすハ、かの下人のくちにまかせ、せひにをよふへからさる也、

逃亡した下人(以下逃亡人)を見つけ(捕らえ)、音信があった場合、ひとりにつきに三十疋の礼銭を渡し、受け取ること。ただし、遠く国境から告(つげ。音信)が来た場合は、路銭や雑事以下の費用については、主人側が償うものとする。抱き物(携帯物)は、全て添えて返却すること。

捕り手が、それを抱え込んで惜しむようなことがあれば、その者も同罪である。全て添えて返却するとはいえ、もし、逃亡人が件の抱き物を途中で失ったり売却したりなどしていた場合、捕り手がその事実を知らなかったのなら、行方は逃亡人の言い分に任せ、捕り手に罪を問うてはならない。

第四十九条

一いけくちをとるのとき、うち候事、とりてのをつとたるへし、たゝしかのるいにんをかさねてとり、いせんうち候を、はくしやうにのするに付てハ、とりてあんとたるへきなり、

生口(生け捕り)を捕らえた時、これを討った場合は、捕り手がその責任を負うべきである。ただし、重ねてその類人(共犯者)の疑いがある輩を捕らえ、拷問して聴取して、以前捕まえた生口(既に殺している)と共犯の旨を白状した場合は、捕り手の理運(討ったけど責任には問われない)となる。

第五十条

一いけくちをとり、はたらかさる事、とりてのをつとたるへし、たゝしかのるいにん、かさねて取、披露のところに、かうもんにあはするのうへ、いせんはたらかさるいけくちとうるいのよし、はくしやういたさは、とりてのりうんたるへきなり、

生口を捕らえて、働けない体にした場合について。これは、捕り手の越度である。ただし、重ねて同類の人を捕らえて披露の場で拷問にかけた時、その者が、以前捕えた生口と仲間であることを白状した場合は、捕り手の理運(適切であったと判断)とする。

とらちゃ
とらちゃ

要するに、同じ条件の新しい労働力が手に入ったら、前の責任は問わないということです。

第五十一条

一いけくちたいくわんをもつてとハせさるまへに、はらをきり、したをくいきりしする事、是非にをよふへからす、たゝし時宜によるへし

代官が生口の尋問を行う前に、生口が腹を切ったり、舌を食いちぎったりして尋問ができなくなった場合、この責任は、論じるまでもない(責任は追及しない)。

ただし、時宜によるか。

第五十二条

一いけくちをとり、ひき候ろしにて、其ちかくのかうむらのもの、又ハしうにん、えんしや、しんるい、大せいをもつて取かへす事、ぬす人とうさいたるへし、然にくたんのいけくち、まかりいて、あやまりなきのよしちんはういたさは、則其身をからめ、かうもんいたし、せひのさたあるへきなり、

生口を捕らえて連行している路次(道すがら)、近くの郷村の者、またはその生口の主人や縁者、親類が、大勢で取り返そうとする行為は、盗人と同罪であるとする。

この混乱に乗じて生口が逃走した場合、その場にいる者らが無実の旨を陳法(ちんぽう。申し開きすること)できなかった場合は、ただちに生口の身を拘束し、拷問してから、罪の是非を裁定すべきである。

第五十三条

一いけくちをとるのとき、しあはせとゝのはて、なハにもをよはす、をいにかす事あらんに、かのいけくちのかれきたり、とりての人しゆかへつて山たちひつはきなと申いつるうへ、とりていけくちにとるのよし申、さうろんにをよふ、たかひのしせうなくてけつしかたくハ、相互にいけくちをとり、まかりいて、あくたうおちつきのかた、せいはいあるへきなり、

生口を捕らえる時、準備が整っていながら、縄にかけることすらできず逃がしてしまい、
その生口が沙汰所に逃れ来て「捕り手の主人が、山立(山賊)追剥になった。」と申し立て、一方で捕り手は「確かに生口として捕らえようとした。」と申し立てて争論に及んだ場合について。

互いに支証が無く、裁定を決し難い場合には、相互に人質を出して、悪党と確定した側に成敗を加えるべきである。

第五十四条

一ぬす人をわたくしにせいはいする事、たとひまきれなきぬす人たりとも、せいはいせしむるかたのをつとたるへし、たゝしそのしう人へ申届のうへ、しうにんのせいはいにつゐてハ、是非にをよはす、

盗人を私的に成敗することについて。たとえ、紛れのない盗人であっても、成敗を加えた者の責任となる。

ただし、盗人の主人に申し出て引き渡し、その主人が私的に成敗する場合については、是非を問わないものとする。

第五十五条

一ぬす人せいはいをハつてのち、くたんのぬす人かくこいたし候ともから、とうさいたるへし、同せいはいを申うけ、むて人うちはにて相すます事、りやうはうともに、さいくわにしよすへきなり、次こぬす人さたなしに、あひすますへからさるなり、

盗人の成敗が終わった後に、その盗人を匿う輩が出てきた場合は、その輩も同罪とする。

そして、同様の成敗を言い渡され、むて人(武装していない者)が内輪で済ませた場合は、双方共に罪科に処す。

次に、盗人の罪の判決が下されていない状況で、示し合わせて事を済ませてはならない。

第五十六条

一人かとひの事、うけかへし候ものゝくちにまかせ、そのさた有へし、たゝし時宜によるへし、

人をかとひ(連行すること。現代で言う勾引(こういん))することに関して。

連行の旨を受け入れ、引き渡してくれた者の申し立てに任せて、裁定を行うべきである。

ただし、時宜によるか。

第五十七条

一たうそくに付て、おやこのとかの事、おやのとかハこにかけへし、たゝしこたりとも、とをきさかいたんかうなすへきやうなくハ、これをかけへからす、同このとかおやにかけへからす、たゝしひとつ家に候ハゝとうさいたるへし、又・時宜によるへきなり、

盗賊の親や子の罪科について。親の罪は子にも及ぼすこと。ただし、その子が遠境に住んでおり、談合しようがない場合は、及ぼしてはならない。

同様に、子の罪も、左記の場合は親に及ぼしてはならない。同じ家に住んでいる場合は、同罪である。

ただ、時宜によるものとする。

第五十八条

一地ぬしのとかなこにあひかゝるへし、名子のとかちぬしにこれをかけへからす、

地主の罪は名子にも及ぶものとする。対して、名子の罪は地主に及ばないものとする。

第五十九条

一とかにんせいはいのとき、さいほう、さいし、けんそくとう、えんしや、しんるいはしり入、きよよういたし候ハゝとうさいたるへし、たゝしひろうのうへ、つミのかろきおもきに付てようしや有へし、そのつミをなたむるともからにおゐてハ、かくこのにんたいくるしかるへからさる也、

罪人を成敗する時、財宝で情けを求めたり、妻子、眷属といった縁者、親類が駆け込んで許容(庇護。保護)した場合は、彼らも同罪とする。

ただし、披露したうえで、罪の軽重によっては容赦してもよい(無罪を認める)。

罪を宥める(受け入れる)輩については、格護中(拘束中)は身体に苦しみを与えてはならない。

第六十条

一せいはいのぬす人とも、とうるいの中にて、其類人をうち、まかりいて候ハゝ、ゆうめんあるへきなり

盗人が正式な成敗対象となっていても、同類の中の類人(共犯者)を討ち、逃亡すれば、宥免とする。

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