プロフィール帳

『奥の細道』

時代:江戸

作者:松尾芭蕉

概要:自然や歴史、人の営みの美しさを見出した、東北・北陸を巡る紀行文学

9

オススメ度

7

日探重要度

5

文量

5

読解難易度

 

登場する場所

番号と対応した地図です。東北地方の名所は頻繁に立ち寄っていることが分かります。

28『立石寺』では、

76 山寺

が該当します。

原文

山形領に立石寺と云山寺あり

慈覚大師の開基にして殊清閑の地也

一見すべきよし人々のすすむるに依て尾花沢よりとつて返し其間七里ばかり也

日いまだ暮ず

麓の坊に宿かり置て山上の堂にのぼる

岩に巌を重て山とし松柏年旧土石老て苔滑に岩上の院々扉を閉て物の音きこえず

岸をめぐり岩を這て仏閣を拝し佳景寂寞として心すみ行のみおぼゆ

閑さや 岩にしみ入 蝉の声

現代語訳

山形藩領に立石寺という山寺がある(現山形市宝珠山)。

慈覚大師(円仁のこと。『入唐求法巡礼行記』の著者)が開山した、誠に清閑な地である。

「一目見るべきだ。」と人々が勧めるので、尾花沢から踵を返して向かった。

その距離、七里ほどであった。

暮れには遠く、まだ日は高い。

予め麓の坊寺に宿を借りておいて、山上の堂に登った。

岩に巌が重なり山となり、松や柏の老木が立派で、土石も古びては滑らかに苔生していた。

岩上にある数々の僧坊は、扉が閉じていて物音ひとつ聞こえない。

とらちゃ
とらちゃ

松柏(しょうはく)という単語は、転じて常緑樹全般を指すことがありますが、この時代にその概念はないので、そのままマツとハクの意になります)。

岸(ここでは崖を指す)を巡り、岩を這い、仏閣を拝むまでに至った。

佳景(かけい。美しい風景)は寂寞(じゃくまく。せきばく。心満たされず寂しい様子)としていて、心が澄み渡るのを感じた。

閑さや 岩にしみ入 蝉の声

目の前に広がる静かな岩々の風景に、うるさい蝉の声が染み入るよ。

閑と蝉の声が対比になってます。

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