解説
奥の細道とは?
『奥の細道』は、江戸時代前期の俳人松尾芭蕉が、元禄2年(1689年)に行った東北・北陸への旅を記した紀行文学です。
深川の芭蕉庵を離れ、門人の杉山杉風の別荘である採荼庵に仮住まいしていた芭蕉は、ここを出発地として、弟子の河合曾良とともに旅へ出ました。旅の目的は、松島や平泉などの名所旧跡を訪ね、古代から続く歴史や自然の趣を味わうことでした。
古代・中世の紀行文は文章と和歌で表現されているのに対して、『奥の細道』では文章と俳句で表現されています。
- 古代・中世 :文章+和歌
- 『奥の細道』:文章+俳句
更に、文章においても比較的平易で読みやすく書かれているため、俳句という江戸時代に誕生した歌表現と、江戸時代の文章表現を同時に触れることができる、最適な作品となっています
紀行文学とは
紀行文学は、紀行文(旅の記録を書いた文章全般)の中でも、文学作品として価値のある作品を指します。
具体的には、旅で見た風景や訪れた土地、出会った人々、旅先で感じたことなどを、文学的に表現した作品が価値あるものとされ、単なる旅行記(「何日にどこへ行った」という記録)とは違い、作者の感情や思想、美意識が込められている点が特徴です。
『奥の細道』以外に、特に有名な紀行文を挙げるとすると、以下の3つでしょう。
- 土佐日記:紀貫之
- 更級日記:菅原孝標女
- 東関紀行:作者不明
特に江戸時代は、街道整備や経済発展によって旅行が盛んになりました。これによって、名所旧跡を巡る旅と紀行文学が発展しています。
曾良の日記の方が重要
実は、松尾芭蕉に同行した曾良が著した『曾良旅日記』の方が重要です。これは、『奥の細道』の旅に同行した曾良が記した実際の旅程記録で、芭蕉の文学的な表現とは対照的に、宿泊地や距離などが細かく記されています。
当時の人々の感性を知るうえで文学作品は重要ですが、地理学、歴史学の観点からすれば、数値による具体化がなされた、こちらの作品の方が”史料としての価値”は高いものとなっています。
『曾良旅日記』があるからこそ、『奥の細道』は信憑性を保っているといえるのです。
どこを通ったの?
道中、様々な名所に立ち寄ったり、通過したりします。
現東京都の採茶庵(さいとあん)がスタート、現岐阜県の大垣がゴールです。
- (深川の芭蕉庵)
- 採茶庵(さいとあん)
- 千住宿
- 草加宿
- 室の八島
- 日光山の麓
- 日光東照宮
- 御山(日光山)
- 那須の黒羽(浄坊寺)
- 那須の篠原
- 玉藻の前古墳
- 金丸八幡宮
- 修験光明寺
- 雲巌寺
- 殺生石
- 白河の関
- 影沼
- 須賀川宿
- 日和田宿
- 二本松宿
- 黒塚の岩屋
- 福島宿
- 忍の里
- 月の輪の渡し
- 瀬上宿
- 佐藤庄司旧跡(大鳥城)
- 佐場野
- 飯坂
- 桑折宿
- 伊達の大木戸
- 鐙摺
- 白石城
- 愛島笠島
- 蓑輪
- 笠島
- 岩沼宿
- 武隈の松
- 名取川
- 仙台宿
- 玉田、横野、榴ヶ岡
- 木の下薬師堂
- 榴ヶ岡天満宮
- 多賀城壺の碑
- 野田の玉川
- 末松山
- 塩釜の浦
- 籬ケ島
- 塩釜神社
- 松島
- 雄島の磯
- 松が浦島
- 瑞巌寺
- あねはの松
- 緒絶えの橋
- 石巻
- 金華山
- 袖の渡り
- 尾ぶちの牧
- 真野の萱原
- 戸伊摩
- 平泉
- 毛越寺
- 金鶏山
- 高館
- 泉が城
- 泰衡ら館跡
- 中尊寺
- 岩出の里
- 小黒崎
- 美豆の小島
- 鳴子の湯
- 尿前の関
- 大山
- 最上の庄
- 尾花沢
番号と対応した地図です。東北地方の名所は頻繁に立ち寄っていることが分かります。
番号をクリックすると、説明欄にどの話で登場するか書いています。
現代語訳一覧
タイトルをクリックすると、現代語訳にジャンプします。
| 1 | 冒頭 |
|---|---|
| 2 | 旅立 |
| 3 | 草加 |
| 4 | 室の八島 |
| 5 | 仏五左衛門 |
| 6 | 日光 |
| 7 | 那須 |
| 8 | 黒羽 |
| 9 | 雲岩寺 |
| 10 | 殺生岩遊行柳 |
| 11 | 白河の関 |
| 12 | 須賀川 |
| 13 | あさか沼 |
| 14 | しのぶの里 |
| 15 | 佐藤庄司の旧跡 |
| 16 | 飯塚 |
| 17 | 笠島 |
| 18 | 武隈 |
| 19 | 宮城野 |
| 20 | 壺の碑 |
| 21 | 末の松山 |
| 22 | 塩釜 |
| 23 | 松島 |
| 24 | 瑞巌寺 |
| 25 | 平泉 |
| 26 | 尿前の関 |
| 27 | 尾花沢 |
| 28 | 立石寺 |
| 29 | 最上川 |
| 30 | 羽黒 |
| 31 | 酒田 |
| 32 | 象潟 |
| 33 | 越後路 |
| 34 | 市振 |
| 35 | 加賀の国 |
| 38 | 那谷 |
| 37 | 太田神社 |
| 36 | 金沢 |
| 39 | 山中 |
| 40 | 全昌寺 |
| 41 | 汐越の松・天龍寺・永平寺 |
| 42 | 福井 |
| 43 | 敦賀 |
| 44 | 大垣 |
現在、「27尾花沢」まで現代語訳が完了しています。
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