一寸法師の裏設定
歴史的背景
『一寸法師』は、室町時代に成立した御伽草子の一つです。
その室町時代というのは、応仁の乱以降、社会秩序が大きく揺らいだ時代でした。下剋上の風潮が広がり、「身分が低くても知恵と努力で出世できる」という価値観が芽生えます。
『一寸法師』の物語が、小さな身体から出発し、都で成功して姫と結婚するという結末に着地するのは、まさに、この時代の立身出世願望を反映したものと考えられることができます。また、物語の舞台が京都である点は、貴族社会を、鬼退治という点は、武家社会を、羨望したものになります。
一寸法師の裏設定
ストーリー全体を通しての説や、出自に対するダークな考察があがりました。
一寸法師=捨て子 説
小さかったり、弱かったりした子は生き残れないと考え、捨てる風習が一定数存在しました。『一寸法師』は、その捨て子の話をベースに、ハッピーエンド型で作られた可能性が示唆されています。
打出の小槌=権力象徴 説
鬼から奪う「打出の小槌」は、振ると金目の物を輩出します。金を手にして生まれるのは、権力と富です。つまり、「打出の小槌」は単なる宝物ではなく権力や富貴の象徴といえるのです。
鬼=既存の権力者 小人=被支配者身分 説
そして、力の弱い小人が鬼から「打出の小槌」を奪うという流れから、以下のように考えることができます。
小人(被支配者身分)が鬼(既存の権力者)から力を奪い、権力や富を得る=下剋上の風習
京都が舞台=上洛説
一寸法師は京都で権力者のもとに身を委ねます。これは、下剋上の世界でありながら権力者、特に京都の貴族に仕え、成り上がるという下剋上のプロセスを踏んでいるといえます。
翁と媼に対するダークな解釈
一寸法師は、一連の功績が世に知れ渡ったことで宮中に呼ばれ、この時、その出自が明らかになります。
それは、生みの親である翁は、ある中納言の子で、その中納言が讒言によって流刑に処された。嫗は、ある少将の子で、幼い頃に死別した、というもの。
当時の結婚観を考えるに、早くて10代前半、遅くても20代には契りを交わし、子を設けているはずですが、この夫婦には40歳になるまで子がいません。
未成年婚が一般的であった室町時代の社会風習を踏まえると、子がいない媼は、身分が剝奪される過程で、様々な経験を経て、そのような体にされていたことが否定できません。
また、翁も媼も生後に身分を剥奪されたことを考えると、そう遠くない親戚が貴族である可能性は十分高いです。しかし、40歳になるまで、頼れる身寄りが無かった様子なので、もしかしたら、一族ごと葬られたのかもしれません。
まとめ
ストーリーを忘れているような人も多かったのではないでしょうか?室町時代の社会背景から考えられる、下剋上やその他ダークな可能性など、現代とは異なる倫理観で見ることもでき、面白いですね。
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