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解説
聖武天皇はなぜ全国に国分寺を建てるよう命じたのか?教科書に書かれていない視点から、その経緯を解説しています。
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現代語訳
原文
乙巳、詔曰、朕薄徳、忝承重任、未弘政化、寤寐多慚、古之明主、皆能先業、国泰人楽、災除福至、修何政化、能臻此道、頃者年穀不豊、疫癘頻至、慙懼交集、
唯労罪己、是以広為蒼生、遍求景福、故前年馳駅、増飾天下神宮、
去歳普令天下造釈迦牟尼仏尊像高一丈六尺者各一鋪、并写大般若経各一部、
自今春已来、至于秋稼、風雨順序、五穀豊穣、此乃徴誠啓願、霊貺如答、
載惶載懼、無以自寧、案経云、若有国土講宣読誦、恭敬供養、流通此経王者、
我等四王、常来擁護、一切災障、皆使消殄、憂愁疾疫、亦令除差、所願遂心、恒生歓喜者、
宜令天下諸国各敬造七重塔区、并写金光明最勝王経、妙法蓮華経部十部、
朕又別擬写金字金光明最勝王経、毎塔各令置一部、所冀、聖法之盛、与天地而永流、
擁護之恩、被幽明而恒満、其造塔之寺、兼為国華、必択好処、
実可長久近人則不欲薫臭所及、遠人則不欲労衆帰集、国司等各宜務存厳飾、
兼尽潔清、近感諸天、庶幾臨護、布告遐邇、令知朕意、又毎国僧寺、
施封五十戸、水田一十町、尼寺水田十町、僧寺必令有廿僧、
其寺名為金光明四天王護国之寺、尼寺一十尼、其名為法華滅罪之寺、
両寺相共宜受教戒、若有闕者、即須補満、其僧尼、毎月八日、必応転読最勝王経、
毎至月半、誦戒羯磨、毎月六斎日、公私不得漁猟殺生、国司等宜恒加検校、
現代語訳
天平13年(741)3月24日。聖武天皇は詔を発した。
以下に続く詔の内容が、国分寺建立の詔です。
『徳が薄い身でありがなら、恐れ多くも天皇という大任を天から承った。しかし、我が政道は未だ広まっておらず、寝ても覚めても恥の多い生活を送っている。古の賢明な君主は皆、祖先の成すべきことを継承していた。また、国家は安らかで、民は楽しみ、災害は無く、幸福に満ちていた。どのようにすれば、そのような政治ができ、またそのような政道に至ることを実現できるのだろうか。
この頃、穀物が不作で疫病が頻りに流行している。私の心の中では、恥ずかしさと恐ろしさが交わり集まっている。ただただ己の罪を償いたい。故に、あまねく蒼生(そうせい。国民のこと)に非常な幸福を広めていきたい。
そこで私は、前年に各駅に早馬を設置し、天下に存在する神宮の造修を行った。去る年(天平9年のこと)、私は遍く天下に詔を発した。釈迦牟尼仏尊像の造像である。高さ一丈六尺(約5m)の尊像を各国に一体設置した。あわせて、大般若経の各一部を写経させた。
そして今、春から秋に至るまで、風雨は順調で五穀豊穣となった。これは御仏に誠を顕し、誓願が成就した結果であろう。御霊がこのようなかたちでお答えになり、賜ってくださったのだ。なんとも恐れ多いことか。
私の勝手な解釈無しに、『金光明最勝王経』にはこう書いてある。
「もし、国土で専ら講読に励み、恭しく敬い、供養し、この金光明最勝王の教えを広めるならば、我ら四天王(須弥山に住まい、帝釈天に仕える四神。東方は持国天、西方は広目天、南方は増長天、北方は多聞天)は常にこの国に来ては護ろうではないか。『全ての災い、障害を取り除き、皆が抱く辛さや悲しさ、そして疾病をも悉く消し去って欲しい、取り除いて欲しい。』と願うその心に我らは従い、常に歓喜ある生活をもたらそう。」と。
よって、天下諸国、各国に七重塔をひとつ建立することとする。あわせて、『金光明最勝王経』と『妙法蓮華経』を各十部ずつ写経することとする。
この七重塔とは、国分寺・国分尼寺のことです。
私もまた、それと別に『金光明最勝王経』を写経し、一塔ずつに一部奉納する。私は願っている。聖法(仏教)が盛んになり、天と地が永遠に続くことを。仏の御恩に護られ、幽明(来世)も幸福に満ちることを。
この七重塔は国の華でもある。よって、建立地には、必ず良い所を選ばなけらばならない。本当に、長久に続くように造らなければならないのだ。悪臭がする人里近い所は望ましくないが、かといって、民衆が往復するのに苦労するような人里遠い所も望ましくない。
国司らは是非とも、各寺を荘厳に装飾することに努めよ。また、清潔に保つように。諸人が神々を近くで感じ、護っていただくことを心から願う。近くも遠くも、遍くこの詔を広め、我が意向を知らしめるのだ。
→ここから条文
第一条。
国分寺に対しては封戸50戸と水田11町を、国分尼寺には水田10町を施すこと。
第二条。
国分寺には必ず20人の僧を設置すること。
また、その寺は「金光明四天王護国之寺」と命名する。国分尼寺には11人の尼を設置すること。その寺は「法華滅罪之寺」と命名する。
両寺に属する僧尼は授戒を受けるように。もし欠員が生じれば、速やかに補充すること。
また、毎月8日には必ず『最勝王経』を誦読すること。毎月中旬には、戒と羯磨(かつま)を誦えること。
第三条。
毎月の六斎日(8・14・15・23・29・30日)には、公私に関わらず、漁や狩猟による殺生を禁止する。国司らは常に検校(けんぎょう。寺や荘園の監督にあたった職)を派遣し、これらを監督すること。
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